「チェンマイドリーミング」◇収録曲について◇ 堀田峰明

組曲「チェンマイドリーミング(Chiang Mai Dreaming)」
    はじまり〜予感〜あこがれ〜ざわめき〜それから(track 1.2.9.10.11)

一昨年始めてタイのチェンマイを訪れた時のこと。テラスで心地よい湿り気を帯びた朝の空気を吸い込み、カリンバを手にしたとたん、こぼれおちるように生まれたメロディが、「はじまり」(track1)。
啓示のように曲が生まれるという体験は、今まで数えるほどしかない僕にとって、それは新鮮な驚きであった。この始めて訪れたチェンマイという土地との出会いが、自分の奥にある何かと共鳴し、新しいステージへの扉が開かれるような「予感」(track2)がした。
僕の滞在したホテルは市内の喧騒から離れた山の中にあり、そこから望む山々や田畑の風景の中に身を置くと、悠久の時の流れに対する「あこがれ」(track9)に似た気持ちが湧いてくる。
出発前は知らなかったのだが、滞在期間が丁度ロイカトーンという旧暦12月の満月に行われるお祭りと重なっていた。祭り独特の空気は、その場にいる人々の想いのベクトルを日常から非日常へ、見えるものから見えないものへと、大きくシフトさせる気がする。
その余韻を身に纏い、月明かりに照らされた森の中の宿へ帰り目を瞑ると、静けさと、月明かりが醸しだす夜の質感とが、祭りの余韻で満ちた心を「ざわめき」 (track10)たて、まるで見えない手で夜の森を導かれ分け入っていくようなメロ
ディーが流れ出てきた。
夢か現か、「それから」(track11)先の物語は、まどろみの中へと消え、気がつけば朝になっていた。
 
カリックファーガス Carrickfergus (track 3)
哀愁を帯びたメロディラインのケルト伝承歌。「カリックファーガス」は美しい古城を戴く北アイルランドの都市の名であり、かの地では誰もが知る「愛唱歌」。
 
ジュピター Jupiter (track 4)
英国の作曲家ホルストによる組曲「惑星」に収められた「木星」の中の有名な一節。
「喜びをもたらすもの」とのサブタイトルがついています。

間奏と後奏には星空の中、ひときわ木星が輝くさまを。

 
Meditation Walk (track 5)

ある雨の日、表参道のケヤキ並木を歩き、地下鉄のホームでカリンバを取り出したと
ころこぼれ落ちてきたメロディ。

雨には街の喧騒をやわらげ、心を静かに内側に向かわせる力があると思う。
 
春の小川 Spring Stream (track 6)

親しみのあるメロディに、ベース、アルペジオを加え、楽器を振ってリズムを刻む…

流れるメロディと一緒にインスピレーションもあふれ出す。
 
こもれび Sun Showers (track 7)

富士を望む別荘地を散歩していた時に指からこぼれ出たメロディ。

少し冷たい乾いた風を頬に感じながら。
 
サラバンダ Saravanda (track 8)
原曲はバロック時代イタリアの作曲家コレッリによる「ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ作品5より第10番へ長調IIIサラバンダ(ラルゴ)」。

サラバンダとは、3拍子からなる荘重な舞曲のこと。モチーフのメロディからスタートし、バロック的様式美を意識しながら即興的に。




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